松戸の弁護士の島田亮です。
前回、仮差押えについてお話ししましたが、「差押え」と「仮差押え」は何が違うのでしょうか。
そもそも、当該権利があるかどうか(例えば、売買代金を請求する権利があるかどうか)は、判決によって確定します。
もっとも、裁判を起こして判決が確定するまでの間には、ある程度時間がかかります。そして、その間に資産を処分されてしまうと、判決によって権利があること(例えば、売買代金を請求する権利があること)は確定したものの、回収が出来なくなるおそれがあります。
そのような事態に対処するために認められているのが、仮差押えです。
仮差押えとは、判決によって当該権利があることが確定する前の段階で行う手続きです。
そして、仮差押えの場合、権利があることが確定していない段階で行うので、一定の担保金を納付する必要があります。
また、仮差押を行うことにより、相手が当該資産を処分することは防げますが、それだけで当該資産から回収をすることは出来ません。仮差押えは、あくまでも相手の資産を「凍結」するものに過ぎません。
一方、差押えとは、判決が確定した後に行う手続きです。
差押えの場合、権利があることがすでに確定していますので、担保金は必要ありません。
また、差押えの場合、仮差押えと違い、差し押さえた資産から回収をすることが出来ます。
このように、相手方から金銭を支払ってもらえない場合、通常の裁判手続に加えて仮差押えや差押え手続きを利用することによって、回収を図ることとなります。