2015.08.28更新

松戸の弁護士の島田亮です。

 

数年前のことですが、午後10時過ぎ頃、私が自宅にいると、携帯電話が鳴りました。

発信先の電話番号を見ると、松戸東警察署からの電話でした(ちなみに、警察署の電話番号は末尾3桁が「110」になっているので、電話番号を見れば、すぐに警察署からの電話だということがわかります。)。

「こんな時間に警察から何だろう?」

そのように思いつつも、私は電話に出ました。

要件は、「本日逮捕したAさんが島田弁護士に連絡を入れて欲しいと言っていたので、連絡しました」ということでした。

 

話を詳しく聞いてみると、どうやらAさんの逮捕容疑は、踏切の一時停止義務違反ということのようでした。

警察官は、踏切の手前で一時停止しなかったと言ってAさんを呼び止めたのですが、Aさんは、「自分は一時停止した」と主張したそうです。

それで現場で口論になったところ、警察官はAさんのことを現行犯逮捕したのです。

Aさんは身元もしっかりしており、普通に仕事もしている人です。そのような人を、踏切の一時停止義務違反という軽微な罪で逮捕することは、逮捕権を濫用する行為に他なりません。

 

そこで、私は電話口で警察官に強く抗議し、すぐに釈放するよう求めました。すると、警察官は、「それでは、今夜は警察に一晩留め置き、明日釈放します」と言いました。

明日釈放するのであれば、どうしてその日のうちに釈放が出来ないのでしょうか?

私は全くもって納得がいかず、さらに抗議をしました。そして、数十分に渡り抗議を続けると、警察官は「上司と相談します」と言い、電話は切れました。

 

その後、午前0時を過ぎた頃、再び私の携帯電話が鳴りました。

今度はAさんからの電話で、釈放されたことの報告とお礼の言葉をいただきました。

私も、ひとまずAさんが釈放されて良かったと、ほっと一息つきました。

 

本来、逮捕とは、証拠隠滅のおそれや逃走のおそれが具体的に認められる場合でなければ許されません。しかも、軽微な事件であればあるほど、逮捕の必要性は低くなります。

警察官は、相手の言うことが気に入らないからと言って、簡単にその人を現行犯逮捕して良いと言うものではありません。警察官は、逮捕権を行使して良い事例であるかをきちんと判断した上でなければ、現行犯逮捕することは許されないはずです。

この事例を通じて、私は、いかに逮捕権が簡単に濫用されうるのかという実情を学ぶことが出来ました。

このような実情は、何としてでも変えていかなければならないと思います。

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