2015.08.31更新

松戸の弁護士の島田亮です。

 

平成21年より、刑事裁判手続に、一般市民の中から選ばれた裁判員が関与する制度が始まりました。

この制度が始まってすでに6年が経過しますが、全国の裁判所の中でこれまで裁判員裁判が開かれた件数が最も多いのは、実は千葉地方裁判所なのです(第2位は大阪地方裁判所です。ちなみに、東京は、東京地方裁判所と東京地方裁判所立川支部とに事件が分散している結果、千葉地方裁判所ほどの件数にはなりません。)。

 

この要因の一つとして挙げられるのは、千葉県内に成田国際空港があることです。

裁判員裁判の対象事件の中に薬物(覚せい剤など)の密輸事件がありますが、成田国際空港で摘発される件数が多く、そのことが千葉地方裁判所で行われる裁判員裁判の件数を大きく押し上げているのです。

 

もっとも、要因はどうやらそれだけではなさそうです。

というのも、薬物の密輸事件を除いて数えても、千葉地方裁判所で開かれる裁判員裁判の件数は、例えば横浜地方裁判所やさいたま地方裁判所よりも一貫して多い傾向にあるからです。

では、その原因は何でしょうか?

犯罪が起こる原因には様々なものがあります。そして、私には、なぜ千葉で裁判員裁判が多いのか、その理由まではわかりません。

このあたりについては、追々検証がなされる必要があると思います。

2015.08.28更新

松戸の弁護士の島田亮です。

 

数年前のことですが、午後10時過ぎ頃、私が自宅にいると、携帯電話が鳴りました。

発信先の電話番号を見ると、松戸東警察署からの電話でした(ちなみに、警察署の電話番号は末尾3桁が「110」になっているので、電話番号を見れば、すぐに警察署からの電話だということがわかります。)。

「こんな時間に警察から何だろう?」

そのように思いつつも、私は電話に出ました。

要件は、「本日逮捕したAさんが島田弁護士に連絡を入れて欲しいと言っていたので、連絡しました」ということでした。

 

話を詳しく聞いてみると、どうやらAさんの逮捕容疑は、踏切の一時停止義務違反ということのようでした。

警察官は、踏切の手前で一時停止しなかったと言ってAさんを呼び止めたのですが、Aさんは、「自分は一時停止した」と主張したそうです。

それで現場で口論になったところ、警察官はAさんのことを現行犯逮捕したのです。

Aさんは身元もしっかりしており、普通に仕事もしている人です。そのような人を、踏切の一時停止義務違反という軽微な罪で逮捕することは、逮捕権を濫用する行為に他なりません。

 

そこで、私は電話口で警察官に強く抗議し、すぐに釈放するよう求めました。すると、警察官は、「それでは、今夜は警察に一晩留め置き、明日釈放します」と言いました。

明日釈放するのであれば、どうしてその日のうちに釈放が出来ないのでしょうか?

私は全くもって納得がいかず、さらに抗議をしました。そして、数十分に渡り抗議を続けると、警察官は「上司と相談します」と言い、電話は切れました。

 

その後、午前0時を過ぎた頃、再び私の携帯電話が鳴りました。

今度はAさんからの電話で、釈放されたことの報告とお礼の言葉をいただきました。

私も、ひとまずAさんが釈放されて良かったと、ほっと一息つきました。

 

本来、逮捕とは、証拠隠滅のおそれや逃走のおそれが具体的に認められる場合でなければ許されません。しかも、軽微な事件であればあるほど、逮捕の必要性は低くなります。

警察官は、相手の言うことが気に入らないからと言って、簡単にその人を現行犯逮捕して良いと言うものではありません。警察官は、逮捕権を行使して良い事例であるかをきちんと判断した上でなければ、現行犯逮捕することは許されないはずです。

この事例を通じて、私は、いかに逮捕権が簡単に濫用されうるのかという実情を学ぶことが出来ました。

このような実情は、何としてでも変えていかなければならないと思います。

2015.08.27更新

松戸の弁護士の島田亮です。

 

現在、刑事司法手続の改正法案について参議院で審議中です。

そして、同法案が成立してしまうと、新たに司法取引が導入されることとなります。

しかし、以前からお伝えしていますが、同法案の規定する司法取引には重大な問題点があります。

 

司法取引の最大の問題点は、「引っ張り込みの危険」です。

例えば、ある事件の被疑者Aが、「実は、主犯格であるBと一緒に事件を起こした」と供述した場合において、捜査側とAが司法取引する場合を考えてみましょう。

無論、Aの供述が真実であれば、何の問題もありません。しかし、Aの供述が間違いなく真実だとは限りません。

そして、もしAの供述が真実でないのであれば、司法取引が行われることにより、無実のBを事件に引っ張り込んでしまうこととなります。

 

「司法取引が適正に行われたことを担保するため、司法取引には弁護人が必ず関与することとなっている」、と説明されています。

しかし、ここで注意しなければならないのは、司法取引に関与するのは、BでなくAの弁護人だということです。

言うまでもなく、Aの弁護人には、Aのために全力を尽くして弁護活動をすべき義務があります。

そうすると、Aの弁護人は、Aの利益のため弁護活動を行うのであり、その一環として司法取引の成立を求める弁護活動を展開することが想定されます。

このようなAの弁護人が関与することによって、果たしてBに対する「引っ張り込みの危険」を防ぐことが出来るでしょうか。答えは、当然「NO」です。

 

本法案の規定する司法取引には、重大な問題があります。

この法案が成立してしまえば、新たなえん罪を生み出す原因となりかねません。

2015.08.26更新

松戸の弁護士の島田亮です。

 

刑事司法手続の改正法律案が衆議院を通過し、すでに参議院での審議が始まっています。

しかし、この法案には、これまでに何度かお話しさせていただいた通り、重大な問題が多々含まれています。

 

千葉県弁護士会では、平成27年8月24日付で、同法案に関し抜本的見直しを求める会長談話を、改めて発表しました。

参議院では、法案の問題点を直視し、抜本的な見直しが図られなければなりません。

2015.08.25更新

松戸の弁護士の島田亮です。

 

弁護士の重要な業務の一つに、文章を書くことがあります。

では、弁護士の書く文章は、どのような文章であるべきなのでしょうか。

 

もちろん弁護士は文学作品を書くわけではありません。そのため、弁護士の書く文章に文学性は必要とされません。

これは私見ですが、弁護士が書く文章は、次の2点を満たす必要があると考えています。

 

第一に、文章のわかりやすさです。

弁護士が文章を書く最大の目的は、自身の主張を読み手(例えば、裁判官)に伝え、読み手を説得する点にあります。

この点、どのように高度な内容が記されていても、それが読み手にとって理解困難な文章であれば、読み手を説得することは出来ません。

読み手を説得するためには、その文章が読み手にとって理解しやすい内容であること、つまり「わかりやすいこと」が必要です。

 

第二に、文章の論理性です。

実は、裁判には、論理ゲームという側面があります。

そして、裁判の場で弁護士が提出する書面とは、論理の力によって裁判官を説得するための道具なのです。

そのため、読み手(裁判官)を論理の力で説得するためには、自ずとその文章は論理的である必要があります。

 

私自身、業務上の文章を書く場合は、常に、わかりやすさと論理性を意識するようにしています。

また、若手弁護士や司法修習生(司法試験に合格した後、裁判官、検察官、弁護士になるため研修中の人)を指導する際にも、文章のわかりやすさと論理性を注意するようにしています。

 

弁護士への委任を検討している方は、もし可能であればその弁護士が書いた文章を読んでみてください。

文章がわかりやすいか。文章が論理的であるか。このようなことも、弁護士を選ぶ際の一つの基準となると思います。

2015.08.24更新

松戸の弁護士の島田亮です。

 

高い専門性を必要とする分野の一つに、医療過誤訴訟があります。

これまで私も医療過誤訴訟を複数件扱ったことがありますが、印象に残っている事件の一つに、あるお産の事故に関する訴訟があります。

 

この件では、赤ちゃんがなかなか産道を降下することが出来ず、吸引分娩が行われました。

その結果、赤ちゃんは無事生まれたのですが、分娩後に母体の出血が止まりませんでした。そして、お母さんは出血性ショック状態に陥り、重度障害が残ってしまいました。

 

この裁判では、出血の原因が何であったかが争われました。

当方は、吸引分娩の際に母体内部を傷つけてしまったことが原因だと主張し、医師側は、弛緩出血(子宮筋収縮力の不良により、胎児娩出後あるいは胎盤娩出直後に見られる出血)だと主張しました。

 

結局、この裁判では、当方の勝訴的和解(当方の主張に沿った内容での和解)により解決することが出来ました。

もっとも、裁判を起こしてから和解に至るまでは、実に3年以上の期間を要しました。

確かに、医療過誤訴訟は専門的であり、裁判所が事案を把握し、適切に判断出来るようになるためには、ある程度時間が必要なのは理解できます(実際に、当方からも、裁判所の理解を助けるため複数の鑑定書を提出し、鑑定医に対する尋問も行うなどしました。)。

それにしても、もう少し早く解決できなかったかという思いも残ります。

医療過誤訴訟ではよく「専門性の壁」があると言われますが、「時間の壁」もあるのだと言うことを、身をもって体験した次第です。

2015.08.22更新

松戸の弁護士の島田亮です。

 

我々の生活に車は欠かせないものとなっています。

もっとも、車を運転する人は、いつ何時交通事故の加害者となってしまうかわからないリスクを負っています。

車を運転する以上、もちろん事故を起こさないよう注意しなければなりませんが、ついうっかり事故を起こしてしまうということも、ありうることです。

 

では、交通事故を起こしてしまった場合、その人にはどのような責任が生じるのでしょうか?

これは、大きく分けて三つの責任が生じることとなります。

 

一つ目は、刑事責任です。

人身事故を起こしてしまったことに過失が認められる場合、その人の行為は犯罪行為となり、一定の刑事責任を負わなければならない場合があります。

これは、「やっては行けないこと(犯罪)をやってしまった」ことに対し、「罰」を受けると言うことになります。

 

二つ目は、行政責任です。

車を運転する人は、運転免許証を取得しているはずです。

この点、交通事故を起こしてしまうと、事故の内容に応じて、免許の停止や取り消し等の処分を受けることがあります。

免許を発行するのは行政(各都道府県の公安委員会)なので、これは行政上の責任と言えます。

 

三つ目は、民事責任です。

多くの交通事故には、被害者がいます。そして、当然ながら、被害者には様々な損害が発生します。

そこで、交通事故の加害者には、被害者に生じた損害を賠償する責任が発生します(この賠償責任に備えるため入るのが、自動車保険です。)。

 

交通事故を起こすと、以上三つの責任が発生することとなります。

そのような責任を負うことのないよう、車を運転する時は十分な注意を払わなければなりません。

2015.08.21更新

松戸の弁護士の島田亮です。

 

逮捕勾留が適正に行われるべく、チェック機能を果たすのは、裁判官です。

ところが、現実に、このチェック機能がほとんど果たされていないことは、前回指摘した通りです。

 

このことは、私の地元の千葉地方裁判所松戸支部と松戸簡易裁判所でも、全く変わりありません。

少し古いデータを紹介します。

平成19年1月~平成20年10月の間、千葉地方裁判所松戸支部と松戸簡易裁判所で逮捕状が却下された件数は1件、勾留状が却下された件数は1件でした。

しかも、上記両件ともに、捜査側からの異議申立が認容されており、その結果、逮捕状と勾留状は全件が認容されていた訳です。

 

当時、私は、そのようなデータに接して衝撃を受けました。何とか、この現状を改善しなければならないと思いました。

その後、私は、このような現状を弁護士会でも報告し、裁判所に対抗する手だてがとれないかと考えました。

 

このような現状を変える方法の一つは、問題ある案件でその都度きちんと異議申立を行うことです。

異議申立がなされると、裁判所では、元の判断を下した裁判官とは別の裁判官が3名で再度判断を下さなければなりません。

問題ある判断にはきちんと異議申立を行うことにより、逮捕状や勾留状のチェックを行う裁判官に緊張感を持ってもらうことが重要です。

 

そこで、弁護士会では、特に若手弁護士向けにこのような現状を示し、きちんと異議申立を行うことに関する教育に取り組みました。

その結果、異議申立がなされる件数は、ここ数年で飛躍的に増えました。

そして、最近では、異議申立が認容されたり勾留状が却下されるなどの事例も、少しずつ報告されるようになっています。

 

今後もこうした取り組みを継続し、問題のある現状を改善して行かなければならないと考えています。

2015.08.20更新

松戸の弁護士の島田亮です。

  

そもそも刑事事件では、なぜ被疑者を逮捕勾留することが許されているのでしょうか?

その人が悪いことをしたから、罰として逮捕勾留するのでしょうか?

 

そうではありません。逮捕勾留することが許されているのは、その人が証拠隠滅をしたり、逃走したりするのを防ぐためです。

したがって、証拠隠滅や逃走のおそれが具体的に認められない場合、逮捕勾留することは出来ません。

刑事事件の被疑者・被告人も、有罪判決が確定するまでは無罪であることが推定されます(これを「無罪推定原則」と言います。)。

逮捕勾留とは、無罪が推定されている人に対し行われるものですから、証拠隠滅や逃走のおそれが具体的に認められる場合でなければ許されないのです。

 

証拠隠滅や逃走のおそれが具体的に認められるかについて、チェックを行うのは裁判官です。

裁判官は、証拠隠滅や逃走のおそれが具体的に認められる場合に限って、逮捕状・勾留状を発付することが許されています。

ところが、実際には、裁判官によるチェックはほとんど機能していません。

 

平成25年度の司法統計から数字を拾ってみます。

全国で勾留状が発付された件数は11万6181件であるのに対し、却下された件数は2308件です。勾留状が発付された割合は、98.05%と非常に高率となっています。

さらに凄いのは、逮捕状の発付率です。

全国で逮捕状が発布された件数は48万0432件であるのに対し、却下された件数は2546件です。逮捕状が発付された割合は、実に99.47%となります。

 

このように、逮捕状・勾留状の発付率が高率となっているのは、裁判官が、捜査側の言い分をそのまま鵜呑みにしているからに他なりません。

これが「人質司法」と呼ばれる現状を招き、取調べの中で自白が強要されるなど、違法不当な捜査が実施される温床となっているのです。

このような現状は、何とかして改善していかなければならないと思います。

2015.08.19更新

松戸の弁護士の島田亮です。

 

前回、仮差押えについてお話ししましたが、「差押え」と「仮差押え」は何が違うのでしょうか。

 

そもそも、当該権利があるかどうか(例えば、売買代金を請求する権利があるかどうか)は、判決によって確定します。

もっとも、裁判を起こして判決が確定するまでの間には、ある程度時間がかかります。そして、その間に資産を処分されてしまうと、判決によって権利があること(例えば、売買代金を請求する権利があること)は確定したものの、回収が出来なくなるおそれがあります。

そのような事態に対処するために認められているのが、仮差押えです。

 

仮差押えとは、判決によって当該権利があることが確定する前の段階で行う手続きです。

そして、仮差押えの場合、権利があることが確定していない段階で行うので、一定の担保金を納付する必要があります。

また、仮差押を行うことにより、相手が当該資産を処分することは防げますが、それだけで当該資産から回収をすることは出来ません。仮差押えは、あくまでも相手の資産を「凍結」するものに過ぎません。

 

一方、差押えとは、判決が確定した後に行う手続きです。

差押えの場合、権利があることがすでに確定していますので、担保金は必要ありません。

また、差押えの場合、仮差押えと違い、差し押さえた資産から回収をすることが出来ます。

 

このように、相手方から金銭を支払ってもらえない場合、通常の裁判手続に加えて仮差押えや差押え手続きを利用することによって、回収を図ることとなります。

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